○建築物理学
ドイツには建築物理学という学問があり、いくつかの大学ではその講座もあり、教育と研究が行われている。この学問はわが国で言うと「建築環境工学」に近いものである。建築環境工学は以前「建築計画原論」、「建築保健工学」などとも呼ばれた。わが国で建築環境工学は主に音、日照、採光、照明、色彩、火、熱、水、湿気、空気などが研究と教育の対象になっている。ドイツでいう建築物理学はさらに断熱や防水、防湿の構成などを示す建築材料学、建築施工学的な分野にまで踏み込んでいる。わが国では建築環境工学の研究成果がなかなか実務者に利用してもらえない、実務者も不明な点を環境工学の研究者に聞こうとしないという傾向がある。実務家と研究者の間に溝があるというのが実情であるが、ドイツの建築物理学は研究者と実務家の融和がうまく行っている感じがする。特にドイツの大きな研究機関であるFraunhofer研究所には建築物理の研究所がStuttgartとHolzkirchenにあり優れた研究成果を出している。
WUFIを使った建築部位における非定常熱湿気同時移動シミュレーション::月刊建築仕上技術2005年2月号 |